2023年8月、曙ブレーキの”借り換え要請”の記事が話題になっていました。
「なんかやばいのは分かるけど、どうヤバいのか分からない」
「調べてみたらいろんな記事が出てきたけど、専門用語が難しくて分からない」
そんな人も中にはたくさんいるのではないでしょう。
実は曙ブレーキに関しては、以前から「やばい」「潰れる」と噂されており、また過去にはある不祥事も起こしています。
ということで今回は「曙ブレーキがやばい、潰れるって本当?不祥事も分かりやすく解説!」と題して記事をお届けいたします。
曙ブレーキがやばい、潰れるって本当?
さて、「曙ブレーキがやばい、潰れると噂される理由!」の話題に入っていく前に、まずは曙ブレーキの基本情報について見ていきましょう。
曙ブレーキの基本情報
略称 | akebono、アケボノ、曙ブレーキ |
---|---|
本社所在地 | 〒348-8508埼玉県羽生市東五丁目4番71号 |
設立 | 1936年1月25日 |
事業内容 | 自動車部品製造 |
代表者 | 代表取締役社長 宮地康弘 |
曙ブレーキ工業(Akebono Brake Industry)は、日本の自動車部品メーカーとして知られています。
特にブレーキ関連の部品の製造を主力としており、多くの自動車メーカーに部品を供給しています。
また、世界中に拠点を持ち、国際的な事業展開を行っています。
曙ブレーキ工業(Akebono Brake Industry)は、長い歴史を持つ日本のブレーキ部品メーカーで、多くの自動車メーカーにブレーキを提供してきました。
例えば以下のような企業が挙げられます👇
- トヨタ
- 日産
- ホンダ
- GM(ゼネラルモーターズ)
- フォード
- フィアット・クライスラー
などなど。
海外向けのメーカーは聞き馴染みのない方も多いかもしれません。
しかし、トヨタ、日産、ホンダの3つのメーカーの名前をみれば、曙ブレーキの凄さが分かっていただけるでしょう。
そんな曙ブレーキについて調べていると、「曙ブレーキ やばい」「曙ブレーキ 潰れる」というワードに検索数が集まっていることが分かりました。
これだけたくさんの有名企業と取引をしてきた曙ブレーキが、「やばい」「潰れる」などと言われるのはなぜなのでしょうか?
曙ブレーキがやばい、潰れると言われる理由
結論から言いますと、曙ブレーキが「やばい・潰れる」と言われる理由は、曙ブレーキが2019年に行った事業再生ADRの申請と記事後半で紹介する不祥事が主な理由です。
「事業再生ADRって何?」
そう思った方がほとんどでしょう。
ADRとは、「Alternative Dispute Resolution」(「裁判に代替する紛争解決手段」)という意味です。
企業が経営難に陥った時、基本的にはそのまま黙って潰れる企業はありません。
何とかして事業を再建しようと対策を講じます。
そしてここで取りうる対策として、法的整理と私的整理の2つが挙げられます。
法的整理とは
これは、裁判所を通して借金の整理を行う方法です。主に「自己破産」「民事再生」「特定調停」といった手続きがあります。
メリット:
- 裁判所が間に入るので、きちんとした手続きが進む。
- 「自己破産」を選ぶと、ほとんどの借金がなくなる。
デメリット:
- 破産を選んだ場合、数年間は新しくローンを組むなどの金融活動が難しくなる。
- 手続きに時間がかかることも。
私的整理とは
これは、裁判所を通さずに、借りているお金を貸してくれた人や会社(債権者)と直接話し合い、返済方法や条件を変更する方法です。
メリット:
- 裁判所を通さないので、手続きがスムーズ。
- 経営状況を公にせず手続きができる。
- 全ての借金をなくすわけではないが、返済のペースや条件を自分に合わせて変えられる。
デメリット:
- 借金を全部なくすことは難しい。
- 債権者全員が同意しないと手続きが進まないことも。
もちろん全く同じではないですが、すごくかみ砕いて言うと、大学受験のために塾を利用して強制的に勉強するのが「法的整理」、塾に通わず独学で一生懸命勉強するのが「私的整理」という感じです。
そして曙ブレーキは2019年1月に、私的整理の一種である「事業再生ADR」によって経営再建を目指すことを発表しました。
経営再建を目指す施策を取る=経営の問題があるという訳ですから、曙ブレーキが「やばい・潰れる」と噂されるのも納得なわけです。
曙ブレーキが私的整理をしなくてはならなくなった理由
ちなみに、曙ブレーキが経営難に陥った理由は、アメリカでの事業の失敗が主要因だと発表されています。
曙ブレーキは2009年、アメリカにあるドイツ・ボッシュの工場2つを約10億円で買収しました。
この買収により、リーマンショックが終わり、アメリカの経済が回復する過程では大きく利益を上げることに成功。
しかし曙ブレーキは、その後当該工場を上手く運営していくことができず、今回私的整理を行わなくてはならないところまで発展したのです。
そしてこの事業ADRの結果がどうなったのかについては、最後の「曙ブレーキの2023年の借り換えについて」のところで解説しています。
ここまでが、曙ブレーキが「潰れる」「やばい」と噂されてきた一番の要因と思われるものです。
ですが他にも、「曙ブレーキ やばい・潰れる」と検索される理由になっていると思われる事柄はあります。
ということでここからは、「曙ブレーキ やばい・潰れる」と検索される理由になっていると思われるもう一つの要因「曙ブレーキの不祥事」について見ていきましょう、
曙ブレーキの不祥事について分かりやすく解説!
また、「曙ブレーキ やばい」という語で検索した時にヒットするのが、曙ブレーキの不祥事に関する記事です。
曙ブレーキが一体どのような不祥事を起こしてしまったのでしょうか?
曙ブレーキの不祥事の内容
内容の齟齬を産まないために、これに関してはまず曙ブレーキから発表された不祥事に関する文章を掲載させていただきます、
かなりごちゃっとしていて読みにくいかもしれないので、黄色の下線の部分を中心に読んでいただくのでも構いません。
重要なお知らせ
当社は、当社国内生産子会社が製造する自動車用ブレーキ製品に関し、お客様(完成車メーカー)に提出する定期検査報告書の記載において、一部不適切な行為が行われていたことを確認いたしました。本件について社外弁護士で構成する特別調査委員会を設置し、事実関係の調査をしてまいりましたが、この度、事実の全容が判明し、具体的な再発防止策の策定をいたしましたので、2021年2月16日付「当社一部製品の定期検査報告における不適切な行為について」にて公表いたしました。
なお、特別調査委員会による調査に加え、対象製品についてお客様と協議、評価・検証を行ってまいりました結果、当社として製品の性能に問題はないと判断いたしました。さらに、その判断結果についてお客様にご確認いただきました。
お客様並びに関係各位に多大なるご迷惑とご心配をおかけすることとなり、深くお詫び申し上げます。今後は、コンプライアンス並びにガバナンスの強化を図ることで、再発防止並びに信頼の回復に全力で取り組んでまいります。
引用元:©2023 AKEBONO BRAKE INDUSTRY CO., LTD. All Rights Reserved.(https://www.akebono-brake.com/notice/news/2021/00/16/notice_210216.html)
不正は2001年から行われており、約11万件で不正行為が行われていたと言います。
具多的には、以下のような不正行為があったそうです👇
- データの改ざん
- 実施していない検査データの記載など
対象製品の性能については問題がなく、その点を顧客にも理解してもらえたということで、まだ救いようのある結果となったと言えるかもしれません。
しかし顧客に対し嘘をついていたという点で、曙ブレーキはその信頼を大きく落としてしまいました。
曙ブレーキの不祥事が起こった理由
曙ブレーキからは、今回の不祥事に関する調査報告書が出されていました。
曙ブレーキの不祥事が起こってしまった理由を分かりやすくまとめると、次のようになります。
- 管理体制の問題: 特定の人だけが検査の結果を書き出していて、他の人や上司がしっかりと確認できておらず、不正に気付けなかった。
- ルールの問題: 検査をする人を減らしていたし、上司たちもこの問題を深く調べなかった。
- 実態に合わない提案: お客様向けの定期検査の内容は、お客様である自動車メーカーと相談した上で決めるが、相談後の提案が工場の実態に合わないものだった。
個人的に、今回の曙ブレーキの不祥事は、人手不足が大きな原因のように思われます。
より詳細に言えば、専門的な知識を持った人が少ない・足りないのではないでしょうか?
昨今の人手不足の問題に対し、例えばコンビニは、外国人労働者を雇うなどして対策を講じています。
しかし曙ブレーキのように、高度な専門知識を必要とする職種に関しては、そう簡単に労働力を供給することはできません。
もちろんこれは、曙ブレーキに限ったことではないですが、高度な専門知識を必要とする職種は、今後もより深刻な人手不足に悩まされるのではないでしょうか・
そしてその結果、管理体制の不備が起こり、今回のような不祥事に発展することも多くなるのではなかろうかと予想されます。
曙ブレーキが挙げた不祥事への対応策
また、曙ブレーキの調査報告書に記載されていた不祥事への対応策を分かりやすくまとめると、次のようになります。
- 管理体制の改善: 検査の結果を書く人と、それを確認する人を分ける。そして、しっかりと監査(チェック)する。
- 外部の人と情報共有: 会社の外の人(取締役や監査役)にも情報をしっかり伝え、情報交換の機会を確保する。
- データの改ざんを防ぐ: コンピュータを使って、人の手でうそをつけないようにする。
- 教育を徹底する: 工場の人たちに、ちゃんとした方法やルールを教える。
- 本当に必要な検査のみを行う: お客様と話し合って、必要ない検査はやめるようにする。
曙ブレーキは以上のような改善策を掲げ、失った信用を取り戻すべく、前に進みだしました。
以上が、「曙ブレーキがやばい、潰れるって本当?不祥事も分かりやすく解説!」の内容です。
ここからは今回のトピックに関連して、2023年8月8日に発表された「曙ブレーキの金融機関の借り換え」について解説します。
曙ブレーキの2023年の借り換えについて
2023年8月8日、ヤフーニュースにて下記のような記事が報道されました。
経営再建中の自動車部品大手、曙ブレーキ工業は8日、取引先の金融機関に借り換えを含めた支援を要請したと明らかにした。
原材料価格の高騰や半導体不足に伴う減産が響き、2024年6月末までに一括返済が必要な負債の返済が困難になった。
引用元:© 2023 時事通信社 ©Yahoo Japan(https://news.yahoo.co.jp/articles/694913636c297ab59d29ac5803c3fcefdbda1a71)
とにかく、原材料の高騰によって、お金が足りていないということは分かりますね。
では金融機関への借り換え申請とは、どのような目的で行われるのでしょうか?
金融機関の借り換えとは?
事業を行う時、お金を借りることがよくあります。
これを「事業融資」と言います。
しかし、時にはこの借りたお金を返すのが大変になったり、もっと良い条件でお金を借りられることに気づくことがあります。
そんな時に役立つのが「借り換え」という方法です。
新しく借りるときの条件が前よりも良ければ、返すお金の総額が減ったり、返す期間が長くなったりして、返すのが楽になることがあります。
では、企業はどんな時に借り換えを検討するのでしょうか?
- もっと良い条件で借りたい時: 新しい金融機関が、前よりも低い金利や長い返済期間を提供してくれる場合です。
- たくさんの借入を一つにまとめたい時: いくつかの金融機関からお金を借りている場合、それを一つにまとめることで、毎月の返すお金の管理が楽になったり、返す金額が減ることがあります。
- 追加でお金を借りたい時: 前の借入と新しい借入を一緒にすることで、新しいお金を借りやすくなることがあります。
今回の曙ブレーキの場合は、冒頭にも紹介したように、原材料価格の高騰による経営悪化が原因で、金融機関の借り換えを検討しています。
曙ブレーキに関する世間の声
今回の金融機関の借り換えを通して、「曙ブレーキ やばい」「曙ブレーキ 潰れる」というワードにさらなる注目が集まってしまっていると予想されます。
曙ブレーキについて、世間の人々はどう見ているのでしょうか?
今回の金融機関の借り換えに関するヤフーニュースのコメント欄を見たところ、一番多かったのは「曙ブレーキの技術は確かなものなのにもったいない」という声だったように思います。
例えばこちら👇
皆さん車関係で語られてますが、鉄道でも採用例は数知れず。特に新幹線は300系以降現在のN700Sに至るまで、JR東海・西日本さんの車両を中心に50%のシェアを誇り、さらに欧州にも進出してます。 会社的にはいろいろと問題がある様ですが、まだまだ死んではいけない企業だと思います。高速鉄道用ブレーキの技術を持つだけに、中国企業に買い叩かれる事態だけは絶対に避けなければなりません。
引用元:©2023 時事通信社 ©Yahoo Japan(https://news.yahoo.co.jp/articles/694913636c297ab59d29ac5803c3fcefdbda1a71/comments?page=2)
この方が仰る取り、曙ブレーキが残してきた実績は確かなものです。
会社の労働環境や経営方針に関しては、厳しいコメントもいくつか見受けられましたが、叩いて潰すのではなく、指摘して回復させるという方向に向かって欲しいですね。
ぜひ「曙ブレーキ やばい・潰れる」なんて評判は、覆してほしいです!
この記事のまとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は「曙ブレーキがやばい、潰れるって本当?不祥事も分かりやすく解説!」と題して記事をお届けいたしました。
この記事を通して、曙ブレーキの現状について少しでも理解していただけたなら嬉しい限りです。
これまで国内外に様々なブレーキを提供し、活躍してきた企業ですから、何とかして踏ん張って欲しいものです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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