8月17日、非常に悲しいニュースが入ってきました。
2022年5月、神戸市東灘区にある甲南医療センターにて、研修医の死亡(過労死)するという事件が起きていたのです。
またこの死亡の件に関して、西宮労働基準監督署(兵庫県)が、長時間労働で精神障害を発症したのが原因だとして、労災認定していたのです。
甲南医療センターで死亡(過労死)してしまったのは、高島晨伍(しんご)さん。
当時の年齢は26歳で、まだまだこれからという方でした。
一体高島さんが置かれていた、甲南医療センターの労働環境とはどのようなものだったのでしょうか?
また、内部告発を行っているTwitterアカウントの正体は何なのでしょうか?
ということで今回は「甲南医療センターで過労死。研修医の死亡を招いた労働環境と内部告発Twitterについても調査。」と題して記事をお届けいたします。
甲南医療センターで過労死。研修医の死亡を招いた労働環境
さて、「甲南医療センターで過労死。研修医の死亡を招いた労働環境」について見ていく前に、まずは甲南医療センターの情報をまとめてきます。
甲南医療センターの基本情報
正式名称 | 公益財団法人甲南会甲南医療センター |
---|---|
前身 | 甲南病院 |
標榜診療科 | 糖尿病・内分泌・総合内科、消化器内科、循環器内科、腫瘍血液内科、 緩和ケア内科、腎臓内科、神経内科、精神科、小児科、皮膚科、放射線科、 消化器外科、乳腺外科、呼吸器外科、整形外科、脳神経外科、歯科口腔外科、 耳鼻咽喉科、泌尿器科、形成外科、眼科、麻酔科、救急科、産婦人科、病理診断科 |
許可病床数 | 380床 一般病床:380床 |
職員数 | 738名 |
開設者 | 公益財団法人甲南会 |
管理者 | 具英成(院長) |
開設年月日 | 1934年6月17日 |
所在地 | 〒658-0064兵庫県神戸市東灘区鴨子ケ原1丁目5番16号 |
甲南医療センターでの研修医の死亡(過労死)が公に
そして冒頭にもお伝えしたように、2022年5月に甲南医療センターで研修医の男性・高島晨伍(しんご)さんが死亡(過労死)されていたことがわかりました。
亡くなった5月17日の昼、高島さんから「変な気を起こさんようにするから」と書かれたメールが淳子さんに届いた。返信しても電話をしても反応がなく、自宅に向かうとクローゼットで死亡しているのを見つけた。
引用元:© 2023 読売新聞社 ©Yahoo Japan(https://news.yahoo.co.jp/articles/03e0ec4eae3cf0377d6bab6932c288ed5cc509d7)
死因は先ほどから何度も説明しているように、過労死と見られています。
その証拠に、2023年6月5日付けで、今回の高島さんの死亡は西宮労働基準監督署(兵庫県)によって労働災害として認定を受けていたことが分かったのです。
しかし甲南医療センター側は、長時間労働を指示したことを認めていません。
センター側の主張は次のようになります👇
センターは取材に対し、高島さんに長時間労働を指示したことを否定している。西宮労働基準監督署は、出退勤記録を基に高島さんの労働時間を認定したが、センターは、院内にいる時間には、知識や技能を習得するための「自己研さん」の時間が含まれ、全てが労働時間ではないと主張。
引用元:©The Yomiuri Shimbun.(https://www.yomiuri.co.jp/national/20230817-OYT1T50044/2/)
「自己研さん」とは、自己のスキルを磨くために時間を費やすことです。
要は、今回労基が労働時間と判断したもののなかには、高島さんが望んでかけていた時間もあるということです。
一体高島さんは、どのような労働環境の中におられたのでしょうか?
甲南医療センターの研修医の死亡(過労死)を招いた労働環境①休日なしで時間外労働
ここからは、甲南医療センターの研修医の死亡(過労死)を招いた労働環境について見ていきます。
こちらは、労災認定を行った西宮労働基準監督署(兵庫県)の調査の結果内容です。
認定によると、高島さんの死亡直前1か月の時間外労働は207時間50分で、3か月平均でも月185時間を超えていた。いずれも国が定める精神障害の労災認定基準(月160時間以上、3か月平均100時間以上)を大幅に上回っていた。また、休日も2月を最後に取得していなかったという。
引用元:©The Yomiuri Shimbun.(https://www.yomiuri.co.jp/national/20230817-OYT1T50044/?ref=yahoo)
時間外労働が月207時間となると、一日当たり約7時間の時間外労働をしていたことになります。
また、休日も2月を最後に取得していなかったということで、高島さんは約3か月の間休みなしで、一日当たりの時間外労働約6時間をというありえない労働環境にいたということになります。
考えただけでも絶望してしまいそうな状態です。
甲南医療センターの研修医の死亡(過労死)を招いた労働環境②学会の発表に追われる日々
実は高島さんは、母親の淳子さんに対して、労働環境における苦しさを吐露していました。
亡くなる2日前、高島さんは、センターまで迎えに来た淳子さんの顔を見た途端に泣き出した。「今週締め切りの学会の資料ができない。あかんあかん」と取り乱し、淳子さんは翌日も高島さんを訪ね、休職を提案した。しかし、「休職したら職場に戻れない」と受け入れなかったという。
引用元:©The Yomiuri Shimbun.(https://www.yomiuri.co.jp/national/20230817-OYT1T50044/?ref=yahoo)
高島さんが死亡(過労死)されたのは、医師3年目のこと。
医師にとって3年目とは、研修医という2年間がおわったばかりの新人です。
きっと仕事にもまだ不慣れで、それに加えて学会の準備となると、非常に過酷な労働時間を過ごしていたと考えられるでしょう。
その結果が、休日なしで時間外労働が一日6時間を超えるという異常事態を生み出していたわけです。
甲南医療センターの研修医の死亡(過労死)を招いた労働環境③休み・残業申請しにくい環境
また、高島さんが働かれていた環境は、休み・残業申請しにくい環境だったと言われています。
下記のツイートは後ほど紹介する内部告発者とみられる方のツイートです。
またこちらは、高島さんの母・淳子さんのコメントです。
淳子さんは「息子の同僚からは残業を申告しにくい空気があったと聞いている。指示がなければ、あんなに追い込まれることはなかった」と反発している。
引用元:©The Yomiuri Shimbun.(https://www.yomiuri.co.jp/national/20230817-OYT1T50044/2/)
どれだけがんばってもそれが対価として払われないことへの無力感や、休みたくても休めないという状況は、高島さんにとって大きなストレスだったと予測されます。
甲南医療センターに関する内部告発Twitterとは?
甲南医療センターの研修医の死亡・過労死が注目されると同時に、あるTwitterのアカウントが注目されているのを皆さんはご存じでしょうか?

そのアカウントの名前は、「甲南医療センター 職員」というもので、2022年7月にTwitterを開始しています。
甲南医療センター
医師が自殺 これ以上過労死を出したくない
【拡散希望】甲南医療センターで自殺 3年目医師
事実を白日に下にさらします
2023年8月後半の時点でのフォロー数は48、フォロワー数は280人と、そこまで多くはありません。
ですが注目すべきはそのツイートの内容です。
甲南医療センターに関する内部告発Twitterのツイート内容
いまこちらのアカウントで一番伸びを見せているツイートはこちらです。
またこれだけではなく、このアカウントは2022年7月(研修医の過労死・死亡の2か月後)にも、今回の事件の内容を想起させるツイートをしています。
Twitterアカウント「甲南医療センター職員」の正体は?
甲南医療センターの研修医の過労死(死亡)が話題になったのは、2023年8月のこと。
上記のツイートがされているのは2023年5月2日なので、このツイート主が本当に甲南医療センターの内部告発者である可能性は非常に高いと思われます。
現役医師からのコメント
最後に、Yahoo!ニュースに寄せられていた現役医師を名乗る方のコメントを紹介して、この記事を終わりにしたいと思います。
それがこちら👇
医師です。 医師はたしかに時間外残業もあるし、そうしないと業務がこなせないこともある。ただ、月200時間を超えるなんて普通はありえません。周りにもそのような人はいませんし、病院がそんなことを許しません。 ましてや、亡くなられたのは消化器内科の医師3年目の医師です。医師3年目というのは、研修医という2年間がおわったばかりの新人です。運転免許でいう仮免許です。通常業務をこなすのも必死だったでしょう。自己研鑽はなく3年目の医師はすべてが業務を円滑にこなすための業務だと思っています。 今回、志し半ばで命を落とされたのは残念でなりません。あくまで医師の世界でもあり得ない、法外な時間外労働をかしたのは問題です。
引用元:© 2023 読売新聞社(https://news.yahoo.co.jp/articles/38e69ace719703a9acbb02a6d5b9a81a2cf49abc/comments)
非常に重労働なイメージがある医療関係者。
ですが高島さんは、そのなかでも異常な環境に置かれていたことがわかりますね。
人の命を助けたいと思い必死に働いていた若者が、命を落とすということは、非常に重い事実として受け入れるべきでしょう。
この記事のまとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は「甲南医療センターで過労死。研修医の死亡を招いた労働環境と内部告発Twitterについても調査。」と題して記事をお届けいたしました。
高島さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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